サンクコストを忘れて経費削減

サンクコストを忘れて経費削減とは

サンクコストを忘れて経費削減とは
サンクコストという言葉を聞いたことがあるだろうか。
大学で経営学を専攻したり、経営に関する専門書を読む人は聞いたことがあるかもしれないが、 それ以外の人にはほとんど馴染みのない言葉かもしれない。

サンクコストとは英語の「sunk=埋没」と「cost=費用」を組み合わせた単語で、日本語では埋没費用と訳される。
このサンクコストを見直すことで大きな経費削減効果を得ることができる。
ここではサンクコストの意味と会社の経費削減について考えていく。

サンクコストとは

「サンクコスト=埋没費用」という日本語訳と、経費削減に効果があるという解釈から、 埋没しているお宝のような経費、と考えるかもしれないがそうではない。
サンクコストそのものは単なる費用に対する個人の見方・考え方を示し、全ての費用は見方を変えればサンクコストになる。

Wikipediaで埋没費用を検索すると、「事業に投下した資金のうち、事業の撤退・縮小を行ったとしても回収できない費用」、と記載されている。
少し解釈が難しいため、もう少し簡単かつ経費削減に絡めて言い換えると、 「今となってはどうしようもない取り返しのつかない費用」と言い換えることができる。
では、なぜこのサンクコストの見直しが経費削減につながるのか、サンクコストの例を幾つか挙げながら考えてく。

サンクコストの例

株式投資

株式投資
サンクコストの事例として最も取り上げられることが多いのは株式などの投資である。
ある人がA社の株価が上がると考え、A社の株式を1,000円で買った。
しかし、購入後、想定に反してA社の業績不振が伝えられ、株価は900円まで下がってしまった。

この時既に100円損しているのだが、またいつか上がるだろうと考え、 ナンピンして株式を購入することがある。
この、ナンピンの根拠となる「1,000円で買った」株式こそが、サンクコストである。
この「1,000円で買った株式=今となっては取り返しのつかない費用」がなければ、 「またいつか上がるだろう」という希望や「損を取り戻すために900円でナンピン買いをする」ことはなかったはずである。

新商品

新商品
世間でiPhoneが爆発的に売れていたため、ある企業がiPhoneの新型を1万台仕入れた。
しかし、仕入れた10日後、メモリ、CPU、ハードディスクの全てが革新的な新型iPhoneが発表された。
しかも新型iPhoneの発売は仕入れ時期の1ヶ月後である。

過去の傾向から、iPhoneは新型が発表されると過去のモデルは値崩れすることが市場調査でわかっている。
マイナーチェンジで2割、スペックの大幅な変更がある場合は半額以下になる。
しかし、この企業は1万台仕入れたiPhoneの仕入費用を考え、
「できれば利益を出したい」、「仕入れ値は割りたくない」、という思いを優先させた。

このような場合、競合他店はどんどん旧型iPhoneの値下げをすぐに実行する。
そのため、この企業が仕入れた1万代のiPhoneはほとんど売れなくなった。
その結果、時間が経つごとにさらに売れなくなり、さらに販売価格も下がっていった。

サンクコストはゼロベース発想で乗り切る

以上、サンクコストは経費削減とは異なる。
サンクコストとは「回収不能な費用」を示す。
しかし、既に投資した費用を回収したいという思いから、無駄な出費を招くことは多々ある。
また、在庫や設備が残ることでそれらに掛かる無駄な経費が発生する。

サンクコストという費用の考え方を知ることで、赤字額を削減できたり、 将来の無駄な経費を削減できる。

上記例では、 iPhoneを1万台も仕入れなければよかった、と嘆いても仕方がない。
タイムマシンでも無い限り、過去に戻ることはできないのである。
企業にとっての正解はこの仕入れたiPhoneを素早く処分すること、 具体的にはすぐにマーケットに見合う価格で販売、処分することである。

どの企業でも売れると信じて仕入れた商品が思ったほど売れない、ということは日常茶飯事である。
需要予測があまりにもずさんな場合は論外だが、 新商品の販売、競合他社の参入、欠陥の発覚など需要予測時と比較して明らかな環境の変化により、 思ったほど販売できないことは多い。

このような時に、仕入れ値が○○円だからとサンクコストにばかり目を向けず、 変化した環境に柔軟に対応し、少しでも赤字を減らす、少しでも投資資本を回収することを考えるべきである。

そのためには、ゼロベース発想が重要である。
サンクコストのことは忘れ、マーケットの変化に素早く対応することで、将来の無駄な経費を削減できる。

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