給与・社会保険料の経費削減手法

給与・社会保険料に関わる経費削減とは

給与・社会保険料に関わる経費削減とは
給与と社会保険料に関わる経費削減は、会社と従業員が共にWin-Winの関係を築くことができる。
ただし、ことは従業員にとって最もシビアな給与に関わることの為、事前の準備は念入りに行うことが要求される。
ここでは給与・社会保険料の経費削減方法について、やり方とちょっとしたコツについて解説していく。

給与・社会保険料に関わる経費削減手法 3つの視点

  1. 健康保険組合を変更する
  2. 社会保険料の仕組みを理解する
  3. 振込手数料を削減する
社員100人当たり年間経費削減額 16,000円~1,700,000円+@

健康保険組合を変更する

健康保険料と会社負担について

健康保険組合について語る前に、まずは健康保険料の簡単な仕組みについて解説する。
健康保険料は各会社が任意の健康保険組合に加入し、そこで決められた給与に応じた保険料を支払う。
この保険料は個人から給与天引きされる保険料とは別に、会社が同額(厳密には1円異なる場合もある)を負担する。
その為、各従業員の健康保険料を会社が半額負担していると言われ、また、従業員数が多いと会社が負担する健康保険料の額も非常に大きな額となる。

健康保険組合について

健康保険組合は大きく分類すると、政府管掌の健康保険組合と民間(組合)の健康保険組合がある。
各会社は徴収した健康保険料を健康保険組合に支払っているが、この保険料が加入する健康保険組合によって異なる。
その為、安い保険料の健康保険組合に加入すると経費削減効果は大きい。

もちろん、徴収される保険料が異なっても、個人が受けられる医療保険に変わりはない。
(※厳密には健康保険組合が提供する保養所や特典などは異なるが、メインとなる保険には変わりはない。)

額面20万円の給与に対して、政府管掌の健康保険組合と民間の健康保険組合を比較した場合
負担する健康保険料 政府管掌の
健康保険組合
民間
(ex.関東itソフトウェア
健康保険組合)
経費削減効果
1ヶ月 1年 従業員100人
1年
個人が給与から天引きされる
健康保険料
9,970円 8,500円 従業員の各人の手取給与も1,470円/月、17,640円/年増える
会社が負担する
健康保険料
9,970円 8,500円 1,470円 17,640円 1,764,000円
※健康保険料は政府管掌の保険料額表平成25年度版より算出
※関東itソフトウェア健康保険組合の健康保険料は平成25年度版より算出

社会保険料の仕組みを理解する

社会保険料には健康保険料と厚生年金保険料があり、この2つが率ではなく、等級と呼ばれる制度によって決まるため、経費削減が可能となる。
具体的には額面給与(厳密には標準報酬月額)が195,000円~210,000円の人は同じ保険料であり、210,000~230,000円の人が同じ保険料で ある。
保険料はこの等級が上がる毎に上がるため、額面給与がどの等級に所属するかで保険料が決まってしまう。
その為、等級の堺近くにいる人は額面給与が1円違うだけで、保険料がグンと上がってしまうという額面と手取りの矛盾が起こってしまう。
この等級の付近にいる従業員について、額面給与を下げることで手取り給与を上げ、経費削減することができる。

額面給与209,900円の人と額面給与210,000円の人の健康保険料比較
額面給与 健康保険料
個人負担
健康保険料
会社負担
従業員手取り 経費削減効果
1ヶ月 1年 従業員100人
1年
209,900円 9,970円 9,970円 199,930円 従業員の各人の手取給与も897円/月、10,764円/年増える
210,000円 10,967円 10,967円 199,033円 997円 11,964円 1,196,400円
※健康保険料は政府管掌の保険料額表平成25年度版より算出

実施のポイント

従業員本人の手取りが増える為、喜ばれる経費削減策ではあるものの、実施するには従業員に誤解なく理解してもらうことが必須となる。
各従業員へ事前通知することなしに実施することはありえないが、会社のメリットだけを叫ぶのではなく、会社と従業員の両方にメリットがあることを理解して貰わないと従業員の不審を招くこととなるので注意が必要である。
また、実際の料率適用に当たっては健康保険組合に対して月変または算定手続きが必要となる。
この当たりは人事部または社会保険労務士または健康保険組合の担当者に聞けばやり方を教えれ貰えるだろう。

振込手数料を削減する

銀行振込手数料が安くなったとはいえ、他行宛の振込手数料は電子振込で315円、窓口だともっと高い。
ただ、自行宛の振込は105円、同一支店だと0円と安く、この仕組みを利用する。
ただし、この実施にあたっても従業員の理解を如何に得ることができるかが経費削減成功のポイントとなる。

振込銀行の選択肢を制限する

実施は最も困難であるが、最も経費削減効果は大きい。
自社が使用している銀行、または、支店しか給与振込口座に指定できない、という制限を設ければ良い。
従業員には多少不便をかけるものの、経費削減効果は最も大きくなる。

給与振込口座を自社のメインバンクに制限した場合の経費削減効果
従業員の給与振込口座 振込手数料 手数料
100人/月
手数料
100人/年
経費削減効果
自行・同一支店 0円 0円 0円 126,000円~378,000円
自行・他支店 105円 10,500円 126,000円
他行 315円 31,500円 378,000円
※経費削減効果は全従業員の給与口座が他行宛だった場合と比較しています。

振込先が多い銀行では、先に資金異動を行う

銀行との関係によっては、できない場合もあるかもしれないが、少しでも経費削減可能な方法である。
例えば100人の従業員のうち、50人が三菱東京UFJ銀行、30人がみずほ、20人がその他銀行であった場合、 自社の取引先銀行から三菱東京UFJ銀行とみずほ銀行に先に資金を異動し、そこからEB振込を行う。

先に資金異動してから振込した場合の経費削減効果
従業員の給与振込口座 資金異動しない場合の
振込手数料合計
資金異動してから振込する場合
資金異動手数料 給与振込
手数料
合計手数料 経費削減効果
三菱東京UFJ銀行
50名
31,500円
(315円×100人)
315円 5,250円
(105円×50人)
15,330円 16,170円
(31,500円-15,330円)
みずほ銀行
30名
315円 3,150円
(105円×30人)
その他
20名
0円 6,300円
(315円×20人)
※資金異動しない場合は全て他行宛振込みと仮定



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